2007年9月10日 (月)

正しくない

07091001

ここのところ夫タカマルが遅い夏の休暇をとっているため、これ幸いとばかりに夫婦ふたりで自堕落し放題。眠たい時に眠っておなかがすいたら食べるという、まったく時計を見ない野蛮極まりない夜更かし生活を送っていたおかげで生活サイクルはどんどんずれ込み最終的には昼夜逆転どころか半ばをちょっと過ぎ、「11時就寝午前5時起床」という健康なんだか不健康なんだかの日常に。

|

2007年9月 4日 (火)

おこらない

洗濯機からがろがろがろと音がするので中の洗濯物を全部出してから底を覗き込むとそこにはにぶく光る100円玉。察するになんでもかんでもポケットに入れたがる習性を持つ夫のジーンズから出てきたものに違いなく。妻は衣類のポケットの最終点検もせずに洗濯機をぐるぐる回したじぶんを棚に上げ、ぶんぶんに怒って拾った100円玉片手に居間にとって返し、パソコンで遊んでいる夫に「洗濯機が壊れては困ります!」と言って鬼の首とったみたいに硬貨を高々と掲げた。すると夫は100円玉と妻の顔を交互に見てから「ああ…」と言い、「それはね、お洗濯のね、お駄賃」とにっこり笑った。
それがまるで「良かったね!」と言わんばかりのおももちだったため、妻もうっかり「そうか」と納得しかけた。

|

2007年9月 1日 (土)

わからない

夫はざくざくと切ったレタスが大好きなのだけれども、本日晩ごはん時に出したレタスは苦かった。苦すぎた。「なぜだろう」「なぜかしら」と首を傾げながらもしばらく我慢して食べていたがあまりの苦さに不安になった夫が「調べます」と呟いて食卓に居ながらにして文庫本サイズのパソコンを取り出し検索。うーん。未来。それによるとレタスの茎には「ラクチュコピクリン」という苦味の成分が含まれているとのことだった。そうか。ピクリンか。なんかかわいかった。特に新鮮だったり大きくなりすぎたレタスが苦いそうだ。なるほど。味の差。それならばと安心してなおも苦いレタスを食む妻の前で夫は得意げに「ちなみにレタスだけのサラダは『ハネムーンサラダ』といいます」と言った。なぜかしら。新妻はお料理が苦手だからかしら。などと思っていたら「lettuce only(レタスだけ)」と「let us only(ふたりきりにして)」という発音が同じだからということだった。うーん。アメリカン。
勉強になった。レタスもたまには苦いと良い。

|

2007年8月29日 (水)

頼まない

神戸の北のほうに文句なしにおいしいうどん屋さんがあるので夫とふたり、高速道路を使ってまでも食べに行く。
決してにぎやかとは言えない場所にあるそのうどん屋さんはそれでも大繁盛。お店の外の椅子に腰掛けてぼんやり田んぼを眺めながら順番待ち。
この日の夫は朝からパンを少しかじっただけなのでべらぼうにおなかがすいており、順番を待っている間においしいうどんへの期待と食欲をどんどんとふくらまして「もう『大盛り』なんてもんじゃ足りないよ!」とか言い出し結局勢い良く「大盛り3人前」を注文。はじめこそふたりでぐるぐる回しながら3種類のおいしいうどんを楽しんでいたが最終的には夫がふたつのどんぶりを抱えるようにして持ち、「くいしんぼう万歳!」みたいな風情でうどんを吸い込んでいったため案の定胃腸がびっくりして帰ってからおなかをこわした。

|

2007年8月23日 (木)

落ち着かない

ベランダに「せみ」がいる。
毎年毎年。鳴き声を聞いているメスは妻しかいないようなマンションの高層階にわざわざ飛んでくるのはなぜなのか。おっかなくていつまでもベランダに出られない妻は速やかに夫に依頼。夫は「よしきた」とたのもしくベランダに出てちょっとドキドキしながら「せみ」をむんずとつかまえ、渾身の力で大遠投。「せみ」は「ぎょー」と言いながら慌てて空へ飛んでいった。さようなら。良い人生を。ひと安心の妻はいそいそと洗濯物を取り込み、入道雲なんかを眺めながら夫と「夏だねえ」なんて言い合ってのんきさを取り戻したのもつかの間。今度は冷たい風と共に雷さんがやってきて、絵に描いたようなびかびかした光でもって盛大に海を照らしたのだった。

|

2007年8月22日 (水)

共鳴しない

おなかがすいた夜。
しかしもう午前も3時なので我慢しておとなしく眠る。静かな心で横になっていると妻のおなかがわりと大きな音で突然「ごるごん」と鳴った。チーズ。慌てておなかを押さえるも妻のおなかは妻の意思とは無関係なところで「ごるごん」「ごーるごん」と喋り続け、しまいには妻の隣でぐっすり眠りこけている夫のおなかまでも「御意(ぎょい)」と返事をしだして寝室はたいへんにぎやかに。

|

2007年8月17日 (金)

走らない

ゴンゾウさん(写真のへんなパンダ)が家にやってきてからというもの、どんどんと増え続けるミニチュアの食玩。
どうして普段のサイズより小さいというだけで、こうも胸躍るのか。そういえば昔からシャープペンシルの芯のおまけについてきた「おむすび消しごむ」(中にうめぼしの形の消しごむがはいっている)(消しごむといえども字は一文字も消えない)が意味もなく好きだった。これはもう性分なのだ。
ゴンゾウさんにはやや小さい、掃除機でかりっと吸ったらいっかんの終わりみたいなミニチュアを眺めて楽しんでいるうちに、妻はこれを飾れるような小さな家が欲しくなったのだった。「鼻さん」が住めるぐらいの、小粋な和室が良い。庭があればなお素敵だ。

そこで調べに調べた結果、数年前に入浴剤のおまけとして売られていたという一軒家を見つけてオークションで購入。各部屋がばらばらに入っていて、つなげると立派な家になるしくみ。しかも家具までついていた。こうなるとすでに入浴剤がおまけだ。

極めてサザエさん的な部屋にはこたつとみかん。たんすの上にだるま。台所にはふきん掛け。流しの下にはうめぼしのかめ。窓なんかもちゃんとあって、妻は虫さえ出なかったらこんな家に住みたい。

お風呂とトイレも昭和なおもむき。
小学校の時にサンタクロースにもらった「シルバニアファミリー」よりもべらぼうにわびしい風情。おまけにお風呂ではきれいなおねえさんが入浴中。もちろん取り出してしみじみ眺めてから新住人の鼻さんをどーんと投入。

がっ。

小さすぎた。
あんなに調べたのに。悲しみに暮れながらただのオブジェと化した一戸建てをそっと戸棚にしまう。
しかしよくよく考えてみるとこれでは妻の持っているミニチュアを置くことが出来ない。かといって「週間ドールハウス創刊号は280えん」などの家は気が長い上に緻密すぎてきっと妻には作れない。そこでお得意の100円ショップに出かけて具合の良さそうなものを探し、考え考え簡易ハウスを作ることに。

木目の模様の発泡スチロールのような板(100円)を長さも測らずにカッターで切り、ガムテープで固定。壁紙として和紙の粘着シート(100円)を貼って適当極まりない部屋をこしらえた。入り口や長押(なげし)のつもりの木っ端なんかはつくね用の竹串(100円)にニス(100円)を塗って貼り付けただけだ。不器用な妻は「のこぎり」を扱えないのでぶあつい竹串は根性ではさみで切った。指がもげるかと思った。もう二度とやらない。

外側の、ガムテープちぎりっぱなしの見栄えをどうにかするべくぺらぺらの板(100円)をはさみでちょきちょきと切ってニスを塗り、貼り付けると見事なバラック小屋に。発泡スチロールむき出しよりははるかにましだけれども、さっきの一戸建てに比べるとどうやっても「夏休みの工作」感が否めない。

そういえば昔「発泡スチロール」の事を「発泡すチロール」だとずっと思っていた。「欲す」や「伏す」のようなサ行変格活用的なものだと信じて疑わなかったのだった。ばかだった。「スチロール」の意味もいまだわからないけれども、「チロール」だなんていよいよもってわからない。
ちなみに妻の兄もつい最近まで「プラスチック」のことを「プラッチック」だと思い込んでいた。友人と話している時に「プラッチック」「プラッチック」と言っていたら「なんでそんなに巻き舌で言うの?」と言われて初めて気付いたそうだった。きょうだい揃ってばかだった。

興に乗って切っただけの「のれん」に使い道のない「おでん」のはんこをポンと押して、とうとう鼻さんの家は出来た。どうせ何かを作るのならお菓子でも焼けば素敵っぽい奥さんになれるのに、妻が手を出すのはどうしてこんなに実生活に関係ないものばかりなのか。

引越し開始。
残りの板をくっつけて作ったいごいごに歪んだ棚にピンセットで慎重にものを配置してから最後に鼻さんを置いてためつすがめつ眺めてご満悦。

なぜだか出したい生活感。
炊飯器の横のふせた茶碗と「しょうゆさし」が特に良い。自画自賛しつつ仕事から帰ってきた夫にさっそく見せると夫はソファの前の小さなテーブルに乗せていたこの鼻さんハウスに「すごーい!」と言いながら駆け寄って、勢いあまってテーブルの脚をぼがーんと蹴ってあわれハウスの中の家具はミニチュアもろともバキャーンとほうぼうに飛び散った。

|

2007年8月13日 (月)

止まれない

野球のチケットをもらった。なんでも試合の途中でどーんと花火が上がるとか。かき氷もあるとか。野球のなんたるかも知らない妻だけれど、夕涼みがてら夫と野球場デートなんて素敵だ。シャワーを浴びてから意気揚々とお出かけ。
しかし玄関を出て2分でさっそく大問題。夫の愛車のバッテリーが上がっている。なぜだ。よく見ると車内灯のスイッチが入ったままだった。誰だ。オレがオマエがという押し問答すら忘れ車の前でふたりして立ち尽くし。しばらくぼうぜんとしたのち、動かない車を立体駐車場から汗だくで押し出してロードサービスにお電話。石ころなんかを蹴ってしんみり待つ。果たして30分後にロードサービスのお兄さんは大きな牽引車に乗って笑顔でやってきて、速やかにエンジンをかけてくれた。救世主。本当にありがとう。満面の笑みでお礼を言う夫と妻に、お兄さんは「バッテリーを充電しないとまた止まりますから、今から2時間ぐらい車に乗って走り続けてください」とわりとひどいことを爽やかに言い放ってじゃーねーと帰って行った。野球観戦あっさり中止。かくして我々は、エンストしたら終わりの爆弾みたいな車に乗ってどこにも行きたくもないのに西へ西へと高速道路をひた走る羽目に。まったく夕涼みどころじゃなかった。

|

2007年7月27日 (金)

度を越さない

100円ショップで見つけた「リストウエイト」。手首に巻きつけると250グラム。これを両腕に巻いて生活をすると知らぬうちに二の腕がすっきりするとかしないとか。さっそく買って帰って装着し、夫の前でポーズを取ってみたら「わあ。強そう」と褒めてくれたので妻は喜んでひがな一日それを巻いたまま過ごして調子に乗って就寝時も外さないでいたら案の定「張り付けの刑」に処された夢を見てうなされた。


|

2007年7月26日 (木)

わからない

なんとなく思い立ってホームセンターに水性の「ステイン」を買いに行き、部屋にある小さな白木の棚を塗る夏の午後。
なんとなく色を選んでなんとなく塗り始めちゃったものだから重ね塗りする頃にはもうすっかり飽きている。布でステインを馴染ませながらすでに筋肉痛。あっという間に乾いて夜には元の位置。棚はわりあい良い具合。

しかし仕事から帰ってきた夫は笑顔でトマトなんか食べて色の違う棚にまったく気付かない。業を煮やした妻が居住まいを正して一言だけ「…間違い探し」と呟くと夫ははっとして真正面にいる妻をかなりの時間凝視。首を傾げた拍子に棚が目に入って満足げに「これだー!」と言ったが、さきほど穴があくほど見た妻の髪の毛は、昨日の時点で既に美容院に行ってとっても短くしてもらっているのはご存知か。ご存知じゃないか。

|

2007年7月24日 (火)

こしらえない

友人から「どこがかわいいのかわからない」ともっぱら評判の、妻の愛する「鼻さん」の指人形。もう売っていないので壊れたり紛失したりすると困ったことに。そんなことになる前にと粘土でもって「鼻さん」を作ってみたりしたけれど、どう見ても鼻さんには程遠いただのいびつな丸。そういえば中学校の美術の成績は「2」だった。不器用だった。おまけにセンスもない。そこで妻は手持ちの「鼻さん」を複製することにしたのだった。

得意の検索でいろいろと調べていると、なにかのキャラクターの女の子のフィギュアを作っている方のサイトがいっぱい出てきた。未知への扉。それにしても世の中には器用なひとがたくさんいる。そこで学んだところによると、こういう時は「ポリエステル・パテ」というものを使うのだそうだった。なるほど。妻はさっそく買いに行く。
「街の小さな模型屋さん」といったかんじのお店のドアをキーと開け、中に居た「趣味:ホビー」という風情のおじさんに「あの、ポテ…パテ、ありますか」ともごもご尋ねるとおじさんはうんと頷き「ポリパテなら『タミヤ』と『モリモリ』があるけどどっちが良いかな?」と言った。モ…。それはなに…。冷汗びっしょりで聞いたことのある「タミヤ」を選択し(「モリモリ」は商品名だった)、勇敢な買い物は終わった。あとは作るだけ。

「おゆまる」で鼻さんの型を取る。「おゆまる」とはお湯に入れると柔らかくなる樹脂で、大きなおもちゃ屋さんには売っているらしいのだけれど行く店行く店「ん?」と首を傾げられるばかりなのでおとなしくインターネットで購入。

柔らかくなった「おゆまる」で、鼻さんをべろりと包む。そのあと水に浸けると元の硬さに戻るしくみ。きらきらのラメの中に包まれた鼻さんは「くず餅」みたいでややシュール。

パカ。
ちゃんと型になっている。すごい。本格的な複製を作るのには「おゆまる」は不向きだそうなのだけれども、妻なんかには上等なのだった。
ここに買ってきた「ポリエステル・パテ」をねりねりと練って入れ、型を合わせてやきもきと約2時間。

パコ。
注意深く型を外すと妻の目に立体的な鼻さんの後頭部あらわる。刻まれた文字までくっきり複製されている。素晴らしい。妻はもう小躍り。勢いづいてご機嫌で残りの型を外す。

イヤー!鼻ー!!と叫ばずにはおれない。鼻さんの存在意義である鼻の先端に気泡が入ってこの始末。他の専門的な道具をなにも持たない妻は青ざめながら適当に「つまようじ」で鼻にパテを詰めて形成。

それでも立派に形になることに妻は感激。すっかり楽しくなってしまってそれから石の粉の粘土や木の粉の粘土をどんどん型に詰め、繊細な鼻を折りまくり、さこさこと紙やすりで削ってなめらかにしたあと白のスプレーをシューとふりかけるという作業をばかみたいに延々2ヶ月もやっていた。

そして乾かすためにサーンと挿した鼻さんを見た夫にとうとう「…この前衛的な『厄除け』のオブジェみたいなのはなんだい」と言われてしまったのだった。


|

2007年7月21日 (土)

降ってない

仕事がとりあえずひと段落ついたらしい夫がぬけがら。
せっかくのお休みなのにいつもの癖で午前6時に起きてぼうぜんとしたりしている。お昼過ぎにふと見るとソファで眠りこけていたので夫の大切なおなかを守るべくそっと毛布を。すると夫は突然ばっちりと目を開いて妻を見、「あいにくの空模様です」と言った。窓の外は晴れている。寝ぼけている。にっこり笑って「晴れてます」と返事をすると夫はなぜか「本当だもん」とぶんぶんに怒って「アマゾン行って来る!」と言ってまた寝た。
行ってらっしゃい。


|

2007年7月19日 (木)

起きない

夏の午前7時。
ほかほかの布団に包まれながらもそれでも起きるのが億劫な妻が我慢大会のようにそのまま寝ていると、先に目覚めた夫がやってきて「朝だよ。コーヒーのみたいよ」と言った。しかし妻は眉間にしわを寄せて「暑い」と呟いて高慢にもこれを拒否。すると夫は隣の部屋から「うちわ」を持ってきて妻のあつあつの身体を裏返し、「では『あら熱』を取ります」と言ってばさばさと妻を扇いだ。妻は料理番組の「酢めし」的に扇がれ続け、ほどよく冷えたのちに起きてコーヒーをいれた。


|

2007年7月16日 (月)

あきらめない

夫が仕事から帰ってきてビールを1缶のんだら午前2時。
それから床に座って「ふくらはぎを揉んでくれるマッサージ機」に脚をのせる頃にはもう半目。できることなら。早く寝室でゆっくりと眠ったほうが翌日のためにも良いのだけれど、「寝ちゃったら一瞬で朝になってまた仕事」というあんまりな一日になってしまう。そうはさせまいと全力で「余暇」を作り出そうとしているのだった。しかし眠気に勝てるはずもなく、夫は半目でゆらりゆらりと揺れたあと妻の視線に気が付いてはっと顔を上げてエヘと笑い、「寝てないよ!」と言って5秒ほどテレビを睨んでいたがあっさり撃沈。妻は、目をむいたままゆっくりと後ろにのけぞって倒れていくひとを初めて見た。

|

2007年7月12日 (木)

はまらない

「たびたび日記に登場するあの変なパンダはなんだ」というメールをたくさんいただく。
あれは「約三十の嘘」という映画に出てくる「ゴンゾウ」という名前で、映画公開時にグッズとして売られていたパンダ。
この映画がDVDになった時に「ゴンゾウ」の存在を初めて知った妻は完全に出遅れ、発売元に問い合わせてみても「もうないよ」のつれないお返事。なぜか諦めきれずに半年間探し回ったあげく、心優しい方に半ば無茶苦茶を言って譲っていただいたものなのだ。


このゴンゾウさん実は着ぐるみ。
説明書には「リカちゃんサイズのお人形に着せるとよろしい」と書いてあったけれど残念ながら妻はリカちゃんを持たない。しかも遠い記憶の中のリカちゃんはあまり手足が曲がらない。どうしてもゴンゾウさんにおかしなポーズを取って欲しかった妻は例によって検索を。しかし「関節が自由に曲がる人形」の呼称がどうしてもわからず、苦し紛れに「ポーズ人形」と打ち込んだら昔テレビの上に飾ってあったような、ガラスケースに入れられた華やかなドレスの人形がいっぱい出てきた。そうか。あれは「ポーズ人形」というんだね。ひとつ知識を得たけれど結局わからない。

「こんな時は実際におもちゃ屋さんに行くと良いよ」という頼もしい夫の助言に従ってふたりでおもちゃ屋。実は夫もノリノリだ。
そしておもちゃ屋のワゴンに投げ売られているリトルなマーメイドさんを発見。魚。500円。箱を手にとってじっと見る。人魚の服の下もさんかくになっていませんようにとホラーな気持ちで祈りながら帰宅。そうして人魚はパンダになったのだった。まさかマーメイドさんも人間になるやいなやパンダ着せられるとは思ってなかったと思う。

それからの妻は愉快な写真が撮りたい一心で小道具探しに奔走。ゴンゾウさんに合う机や椅子を買い求めてお人形さんごっこ。しかも夫も止めないものだから我が家は踏んだら痛そうなこまこまとしたミニチュアでいっぱい。もういい大人なのに迷走中。

|

2007年7月11日 (水)

気付かない

買い物に出かけるために夫と一緒にマンションのエレベーターに乗り込んでポチポチと閉ボタン。それからふたりしてエレベーター内についている大きな鏡の前で頭の悪そうなポーズを決めてみたり、前髪を直したり、タイル状になっている床でツイスター(右足を赤に)をやってみたり、他愛のない会話(おなかすいた)を繰り広げてみたりなどの、おおよそひとがエレベーターの中でやるであろうすべての事をやり終えた後、夫がおもむろに「ところでいつになったら1階につくのかな?」と言ったのでパネルの表示を見てみたらひとっつも動いてなかった。1階のボタンを押すのを忘れていたのだった。

|

2007年7月 9日 (月)

望まない

誕生日だった。
2週間ほど前に友人が「なにか欲しいものはあるかな」と電話をくれた際、妻はしばらく考えたのちに前から気になっていた牛を思い出し「あっ。欲しい牛が」と答えると友人は「うし…」と首を傾げながらも当日手作りケーキと別の素敵なプレゼントと共に、ちゃんと「おまけ」の牛も用意してくれた。どうもありがとう。
付き合って19年にもなる友人との間には「互いの誕生日はお望みのものを全力で探してきて祝う」という極めてかぐや姫的なルールがあるのだ。「年に一度の誕生日に牛てなんなの」と絶句する友人だったけれど、彼女も去年の誕生日に欲しがったのは「ヌーブラ」だった。そんなの妻だって絶句した。どっこいどっこいだ。

|

2007年7月 2日 (月)

探さない

妻が四国に出かける前にシャワーを浴びた際、使いきってしまったシャンプー。容器を洗って脱衣所に詰め替え用の新しいシャンプーをどんと置いたところまでは良かった。しかし「容器に詰め替える」というかんじんのところをうっかり忘れて四国へ出発。
残された夫はかわいそうにお風呂場でからっぽのシャンプーの容器を見て愕然。手の届く範囲に詰め替え用が鎮座しているのにも関わらず、仕方無しに身体を洗うせっけん(マンゴーのにおいがする)でさっぱりと髪を洗ってごわんごわんになっていた。ああ。夫のキューティクルが。


|

2007年6月24日 (日)

行かない

多忙で精も根も尽き果てた夫が、貴重な土曜日に所望するのはリフレッシュ。
梅雨の合間の晴れた外を眺めながら「浜辺で寝っころがってのんびりしたいなあ」と言っている。そよとも風の吹かないかんかん照りの中で、そんなことをしたらきっとのんびりどころじゃないよと必死で止めたが夫はノリノリ。しかし買い物に出かけた先のスーパーで「海苔巻き」を選んだところで「…なんかもう疲れてきちゃったよ」とあっさり疲労困憊。そのまま家へ戻る。海は元気なひとが行くものなのだ。

それでもヨボヨボなりにリフレッシュするべくベランダにテーブルと椅子を持ち出してビール。我が家の幅が狭くて無駄に長い(20メートルもある)ベランダでごはんを食べるのは初めてだったのだけれども、ことのほか良かった。なんなら海より良かった。だって海にはビールの冷えた冷蔵庫は無いし、切った「海苔巻き」を取り分ける小皿だって無いのだ。インドアは素敵だ。

日が暮れるとテーブルの上にろうそくを置き、三脚を立てて夜の雲の写真を撮っている夫を眺めて楽しく過ごしたのだった。

|

2007年6月22日 (金)

いたたまれない

夫の仕事がたいそう忙しい。真夜中にヨレヨレで帰ってきて缶のビールを1本のみ、ぽとりと寝てしまう日々。普段は弱音を吐いたりしないさすがの夫も「寝ている間も仕事の夢を見るよ…」と起き抜けに「ろば」のような顔で呟いている。口内炎も治らない。妻はビタミン剤を用意することぐらいしかできない。
いつものように遅くに帰ってきた夫の前にビールをこんと置いて、持ち帰ってきた空のお弁当箱を洗っていると食卓の夫がしきりに上を向いている。なにをしているのかと思ったら夫はおつまみである「えだまめ」のシルエットを見て遊んでいるのだった。「こうやってかざすとね、中が見えるんだよアハアハハ」だそうだった。一刻も早く今の仕事がひと段落ついて欲しいと願ってやまない妻だ。

|

2007年6月21日 (木)

もえない

つけたままだったテレビから「メイドさん」かなにかの映像が。
それを観た夫が「ぼくも今日から『ご主人さま』って呼んでもらおうかな!」と冗談めかして言って、ふたりでハハハと笑ったのを妻はずっと覚えている。妻なりに「あるじに仕えるもの」の具体例をイメージしたのち、夫がそんなことすっかり忘れた頃にそそそと近づいて「ごしゅりんたま。すいか食べませんか」と尋ねてみると夫は妻の顔を見て眉を曲げ、「…そう呼ばれちゃうともう、『ハットリくん』に出てくる猫しか思い浮かばないな…」と懐かしいことを言った。「影千代」ではだめみたいだった。

|

2007年6月20日 (水)

健やかでない

お風呂で本を読むのが楽しい。
浅くお湯をためたところに重曹をぱっぱと入れてペットボトルの水とタオルと歯ブラシと本を持ち込んで風呂ふたの上に据え、気が済んだら髪などを洗って上がる。汗をかくのでお肌にも、まあ良い。本も読めて歯も磨けておまけにもうお風呂に入ったことになるのだからものぐさにはまあまあ合理的かつ健康的なのだった。
しかし昨日はうっかり湯船の中にぼじゃーんと本を取り落としてしまい妻のシャーロック・ホームズはだだ濡れ。落っことした瞬間のあまりの慌てぶりに冷や汗がどっと出て不健康。

|

2007年6月18日 (月)

邪魔しない

忙しい夫の貴重な休日。久しぶりにパソコンに興じている夫の後ろからそっと近づいて愛をもってべったりとへばりつくと夫はパソコンの画面から目を逸らさずにフフと笑って「なにか欲しいものでもあるのかい」と言ったのでそんなつもりじゃなかった妻はガーンとなって「アホー!」と叫んで駆け出してがっくりと膝をつき「ぬくもりが欲しかっただけなんや…」と、関西に住んでいながら間違った関西弁を芝居がかった口調で呟いて悲しみひとり相撲。きっとうっとうしい事この上ない。

|

2007年6月16日 (土)

見届けない

たまたま夜中につけたテレビではアメリカのバスケットボールの試合をやっている。スポーツは見るのもやるのもからっきしな妻も、夫の愉快な解説を聞きながら楽しく観戦。つまりはディフェンスが守りでリバウンドでドリブルかつタイムアウトなのだ。やっぱりちっともわかっていない妻を置いて試合は進み、残り時間は7秒。4点差。手に汗握る大攻防。しかし仕事が忙しく疲れていたかわいそうな夫はソファで転がりながら「息詰まる戦いだね!」と元気よく言った5秒後に寝てしまった。そんな。あんなに楽しそうに見てたのに。あと7秒なのに。


|

2007年6月14日 (木)

ぎょっとしない

最近の妻の枕は、愛知万博で母が買ってくれた「低反発モリゾー」。
モリゾーのおなかで毎晩ふっかり眠っているというとファンシーな風情でいかんともしがたいのだけれどこれがなかなかどうして具合が良い。その昔に一念発起して大枚はたいて購入した安眠枕も出番なし。低反発モリゾーの前にはNASAが開発した素敵な素材もかすむのだった。妻の首なんてそのぐらいのものなのだ。
しかし油断しきった寝起き一番に視界に飛び込んでくるものがうつろなモリゾーの目だったりするとちょっとひるむ。

しかもひるんだ後に寝返りなんかうとうものなら紆余曲折を経て我が家にやってきた鼻さんがじっとこちらを見ていたりするのでやっぱり「おお…」となるのだった。そこにはファンシーなんかかけらもない。

|

2007年6月13日 (水)

当たらない

夫が「さあ夢でも見るか」と言って戯れに「宝くじ」を3枚買ってきたので、ふたりで夢を見ることにする。3枚買ったわけは「一等賞」と「前後賞」を合わせて3枚だからだそうだった。どんぴしゃで当てる気だ。夫はもしかしたら大ばくち打ちだ。
いくら夢とはいえ、妻はせいぜい「100万円」ぐらいが限界でなんにも思いつかない。なんなら「5千円」のほうが胸躍る。良い案も出ずにボーと一点を見つめる妻の横で、夫は「ぼくは素敵な車を買う」と言った。そして妻用にも車を購入して、今の愛車も手放さないらしいので夢の中の我が家はなんだか車だらけに。しかし話題はそれから「そうなると駐車場代が」とか「維持費が」とか「保険が」などという、3枚900円の夢にふさわしい実に地味なものに移っていったのだった。

|

2007年6月12日 (火)

壊さない

春先にモロッコを旅した兄夫婦から、革のバブーシュをもらった。
出発の前に電話をくれた兄に「いったいまた何故モロッコに」という素朴な質問を投げかけたところ、兄は「カサブランカ・ダンディだから」というわけのわからない答えを妙にきっぱりとジュリー的に述べて旅立ち、妹である妻のためにスリッパを買ってきてくれたのだった。どうもありがとう。実際妻は、圧倒的に家に居る時間のほうが長いので新しい室内履きには心ときめくのだ。
そんなわけでときめきながら使用前の記念撮影。このバブーシュのかかとの部分は寝かされたまましっかりと固定されていたのだけれどそんなこと知らない妻はかかとを起こそうと思い切り引っぱってしまい、まだ履いてもいないのにべりべりにのりを剥がして意気消沈。


|

2007年5月30日 (水)

恥らわない

実家に遊びにきてくれた父方の祖母に、夫と一緒に会いにいく。
奈良に住んでいる父方の祖母は今年でなんと93歳。ご長寿さん。それでも耳はよく聞こえて話もしっかりしている。さすがに足腰はヨイヨイだけれども、毎日近くの小さな畑まで歩いて行ってパッパと種をまいたりしているというスーパーばあちゃん。四国の祖母とはずいぶんとタイプが違う。妻にはいろんな祖母がいる。
伯父一家とにぎやかに暮らしているので安心してあまり奈良まで会いに行ったりしないけれど妻はこの祖母が大好きなのだった。はやる気持ちをおさえつつ実家に車を停めると祖母と伯父一家はもう到着している様子。いよいよ感動の対面。すごい笑顔でどかどかどかと家に入って居間のドアをバーンと開けて「ばあちゃんひさしぶり!」と駆け寄ると祖母は驚いた顔で妻を見るなり「よう肥えたなあ!(ずいぶんお太りになられましたね!)」と言ったので妻は「イーヤー!」とまんまるの顔を両手で隠したのだった。


|

2007年5月29日 (火)

遊ばない

遠方より友来る。

家長である夫タカマルに「東京の友人が2泊3日でうちに来るけれどよろしいか」とお伺いを立てたところ、夫は思案顔でしばらく黙ったあと「…どの手品を披露しようかな!」と言ったのでちょっとびっくりした。てじな…。開口一番発する言葉はそれなのか。
そんなわけで友人は、京都でお目当ての展覧会を観て、炎天下にやられてヨレヨレになって我が家にやってきた。友人には妻の自室に据えている小さなベッドでお休みいただきます。名付けて「民宿四畳半」。

07052812

奇しくも夫が東京出張で居なかったのでふたりで思うさま夜更かししてしまい、次の日起きたら午前11時も半だった。寝すぎた。せっかくの関西。どこに案内すれば楽しんでいただけるかしら。遅い朝食をとりながらいろいろと話し込んでいると唐突に友人が「香川のうどん…」とぽつりと呟き、呟いた瞬間に場は唐突に盛り上がって我々は唐突に明石海峡大橋を渡る。出発時刻は午後1時。相変わらずの無計画。

昨日はかんかんに晴れていたのに本日は大雨。そういえば妻はつい一昨日も四国に居たのだった。
鳴門海峡大橋を渡りつつ「渦潮は見えますかっ」と尋ねると友人は助手席の窓に貼り付いて「あのう。渦どころか何も見えません」という霧の濃い残念なドライビング。
しかし念願のうどん店「山田家」の門構えを見た途端友人のテンションは最高潮に。

雨の庭園を眺めながら静かな座敷で食べる冷たいうどんはそれはそれはおいしかった。あっさりたいらげた後に鼻息も荒く「ではこれから軽く2、3軒うどん屋さんを流しますか!」と言うと「山田家でうどんを食べる」という本懐を遂げた友人はすっかり満足してしまい「もう入らないよ」と言うのだった。うどんを1杯食べるために海を越える。なんたる贅沢。

それでも徳島県に戻って寄り道。四国八十八箇所巡礼の一番札所、霊山寺。
平日の夕方だったので誰もおらず。しかも寺の敷地内はところどころに金色でいろいろと妙だった。池の水が青に着色されている。理由はまったくわからない。

そしていたる所にお遍路装束をまとったマネキン。靴はなぜだかハイヒール。子どものマネキンも満面の笑みで立っていた。夜中にふいに見ると、とっても怖いと思う。

あとへんなパンダ。
お参りをしたあと「いろいろとすごいね」と言い合って四国おわり。

それから夜中に仕事から帰ってきた夫が華麗に披露する手品を(半ば強制的に)見てやんややんやしてから就寝。やっぱり眠るのは午前4時。

休日出勤のかわいそうな夫を見送ったのち、二度寝して起きたらお昼だった3日目。今日はどこにも行かずに家でのんびりすることに。
友人がやってきた初日の夜なんかはイタリアンのお店でワイングラスチーン(乾杯)などとやっていたのに、最終日ともなるとふたりとも寝起きでパジャマでぼさぼさのままこしらえたごはんを食べたり「すいか」を齧ったりDVDを観たりと非常に野蛮。妻なんか洗濯機まで回した。でも気を張らずに過ごすことのできる友人と居れるのは幸せなことだ。

最後の晩餐は明石まで行って「玉子焼き」。
しかし友人の乗る帰りのバスの時刻迫る。あんなに時間があったのに。寝間着でお茶なんかすすっていたせいで時間に追われて呑むように玉子焼きを食べた友人は、ちぎれそうに重いお土産ものの「うどん」を抱えて駆け足で帰っていったのだった。また遊びに来てくれると良い。


|

2007年5月18日 (金)

ためない

友人がふたり我が家にやってきたのでカレーでお出迎え。
なかなか時間が合わず、実に久々の再会ゆえにそれぞれの近況や行った旅の話でおおいに盛り上がって最終的にはたまりにたまった土産物の大交換会が始まる。
「3月の金沢」「5月の東京」「連休の広島・尾道」などの素敵な品々をもらい、妻も先月丹後半島をくるりと一周してきた際のお土産をふたりに手渡すとテーブルの上はなんだかもう「若干的の外れた物産展」か「全国うまいもの市」みたいな風情になってしまった。

|

2007年5月15日 (火)

確かめない

妻が結婚前から持っている「うさこ」の目覚まし時計は、予定された時刻になるとけたたましい鳥のさえずりと共に「朝ですよー。良い子はひとりで起きられるんですって!」と言い、止めたら止めたで誇らしげに「ねっ?起きられたでしょ」という非常に腹立たしいもの言いで起こしてくれる迷惑なしろもの。
電池がなくなりかけると低い声になったりしておっかないのだけれども、本日は元気が良すぎてアラームを止めた瞬間に「ねっ?ねっ?ねっ?ねっ?ねっ?ねっ?ねっ?ねっ?起きられたでしょ」と言い放った。とてもしつこい。

|

2007年5月12日 (土)

やめない

お久しぶりでございます。

長い旅日記を書いては満足してほったらかし。というのを繰り返していたら前の更新から半年も経っていました。
年末に兄が結婚し、クリスマスのさなか親戚とぞろぞろ東京の明治神宮まで出かけて愉快な式に出席。年始早々父が具合を悪くして入院。身体の中を切ったり縫ったり洗ったりしてパサパサになって元気に退院。人間はどうして入院するともれなくパサパサになるのかと思いながら祖母に会うために四国を3往復。などの、周りが賑やかなわりによく考えたら実際妻自身にはなんにも起こってないという半年間を過ごしていたのでした。

休止中にも関わらずコメントやメールを送ってくださったみなさまありがとうございました。のこのこと舞い戻ってまいりました。あいも変わらずのんべんだらりとした更新ではありますが、懲りずにお付き合いいただけると嬉しいです。

せっかくコメントいただいているのにろくすっぽお返事も出来ていないのが大変心苦しいので、このたびコメント欄を撤去させていただきました。
なにかありましたらお気軽にサイドバーの「プロフィール」にありますメールフォームよりメッセージをいただければ嬉しいです。
それではこれからも「おでん」をよろしくお願いいたします。

|

2006年11月 2日 (木)

買い込まない

06110301

10月23日は夫の誕生日だった。
朝起きて仕事へ行くしたくをしている夫に「今日はなにごちそうにしましょう」と聞くと夫はちょっと考えて、「おいしい、お寿司」と言った。よしきた。
そんなわけで妻は電車に乗って、お寿司屋さんまで行っておいしいお寿司をこしらえてもらい、箱に詰めてもらってお金を払ってお店を出た。あとはなにかしら。お誕生日といったらチキンかしら。そして妻はお寿司をぶら提げながら歩いてチキンのお店でチキンをこしらえてもらい、箱に詰めてもらってお金を払った。その後ケーキ屋さんに寄って丸ケーキを箱に詰めてもらい、紙袋だらけで電車に乗って帰った。
その夜自慢げに夫に「デンデーン」と変なファンファーレ付きでそれらをテーブルに広げて見せた妻は、夫と一緒においしくごちそうを食べたのだった。朝から作るごちそうも素敵だけれど、寿司とチキンとケーキも案外面白くて良かった。これにファンタオレンジがあれば完璧だった。

| | コメント (13)

2006年10月23日 (月)

発汗しない

06101011夫休暇中のある日。
新聞屋さんからとてもお得なチケットをいただいたので、夫婦二人で喜び勇んで「有馬温泉」へドライブ。神戸から車でたったの1時間で旅情満載。趣のある旅館でごちそうを食べて宿泊するもの良いけれど、日帰りも悪くない。良い旅と夢気分が味わえて手元には割引券。お得が織り成すハーモニー。



06101012温泉の前に街をそぞろ歩き。
有馬温泉は日本最古の温泉で、豊臣秀吉が愛したところ。有馬温泉には金泉と銀泉があって、金泉は湧出直後は茶褐色に濁っている。湧き出る炭酸水と小麦粉を混ぜて焼いた炭酸せんべいはおみやげものとして有名なのだった。街中いたるところに炭酸せんべい。さっそく友人のおみやげにと缶入りのおせんべいを買うと、お店のおばさんは「これをあげましょう」と言って炭酸せんべいが5枚入った袋を妻にくれた。妻はなんだかもうものすごく嬉しくなってしまって、お礼を言って受け取りさんざ眺めて楽しんで家に持ち帰りしばらく置いておいたらせんべいはしけしけに湿気て愚かにも焼き立てを逃した。



06101009夫と妻が行ったのは、旅館に併設されている岩盤浴もできる大きな温泉施設。ふたりして岩盤浴初体験。
厚手の作務衣のようなものを貸してもらって中に入ると心地よい温度の暗い空間があって、そこには「ネパール産の岩塩でできた岩盤」だとか「阿蘇山の溶岩を固めてつくりました」だとかさまざま岩盤が用意されていて夫と妻は目移り。とりあえず桃色の岩塩でできた岩盤に寝っころがってみる。
友人に聞けば「気持ちよくて寝ちゃったよ」とうっとり言っていたので妻もさあ寝るぞと意気込んで目を閉じる。天井の低い部屋の中には有馬温泉の天然のミストがシューと漂っていて、とどめに「癒えろ」といわんばかりのヒーリングミュージックが小さな音で流れている。これでもかというかんじ。しかし妻は張り切りすぎてちっとも眠れず、持ち前の代謝の悪さでもって汗もあまりかかず、次第に焦りが。制限時間は30分。汗かけ。汗をかけ。
仕方なく10分延長して居座り。夫はどうかしらと隣の夫をチラと見ると、悪夢を見たひとのように夫は汗だく。でも顔は安らか。という岩盤浴の見本みたいな寝方をしていて妻はとてもうらやましい。よく見れば夫は足の甲にまで汗をかいていた。足の甲に汗をかいているひとなんあまり見たことがない。いいな。夫はすっかり満足して、「さあ出よう」と言って起き上がって流れる汗もそのままにぺしゃ、ぺしゃ、と歩いて行った。悔しいので夫に「妖怪びしゃびしゃ」という名前をつけて有馬おわり。

| | コメント (7)

2006年10月16日 (月)

開かない

06101004

夫休暇中のある日。友人たちがお祝いしてくれるはずだったお誕生日会の夕食を、妻は「歯が痛くてなにも噛めません」という非常に馬鹿馬鹿しい理由でキャンセルをしたのが7月。まだ治療中の身なれどなんでもおいしく噛めるようになった記念に、友人はまた「今度はタカマルさんも一緒に」とごはんに連れ出してくれた。そんなわけで夫と妻は、ごちそうを食べに出かけたのだった。

06101602会うと友人は「夏の休暇を利用して富士山に行ってきた」と言って、妻におみやげをくれた。その中のひとつ。ワインオープナー。
なんでも富士山の麓にあるワイン屋さんで売られていて、お店のひとが実演してみせてくれたのだそうだ。この薄いバネをワインボトルとコルクの間に挿し込んでニギニギひっぱるとすぽんと簡単に抜けて、コルクがちぎれたりしないよ。という画期的なしろもの。友人は心から感動して喜んで買って帰ってきた。どうもありがとう。でも妻は、この薄いバネがボトルとコルクの隙間に果たして挿し込めるのか、いまいちよくわからない。それを言うと友人は「そりゃあもう魔法のようだよ」と熱弁。そうか。そんなにこのオープナーが好きなのか。

06101005

その後友人は、予約していたお店でのめもしないのにはりきって「アフリカ産ワイン」を注文。颯爽とワインと共に格好良いソムリエナイフを持ってきた給仕さんに「いえっ。ワインはこちらで開けさせていただきます」と、レストランでは見たことも聞いたこともないことを自信まんまんに言い放って、かばんから件のオープナーを取り出した。どうしてもこのオープナーの威力を立証したいのだ。その熱意たるや。
そんなふうにして、ソムリエナイフを持ってきた給仕さんも興味深く見守る中、友人のワイン開けパフォーマンスは始まった。しかしまずバネの部分をコルクの隙間に挿し込もうとするも、やっぱり案外隙間なんて無く。こつも掴めてないので悪戦苦闘。お店のひとも含めて総勢5名が固唾をのむ。焦った友人は夫の「ぼくがやってみるよ」の言葉も聞こえず、ぐぎぎぎぎと力技でねじ込もうと必死。そして力を入れすぎて、なんとコルクもろともボトルの中に沈めた。
しかも勢いあまって急に押し込んだものだからはずみで中のワインがびしゃーんと飛び散り、前のめりになって様子を見ていた全員の顔と服をびたびたにして、静かな店内は「うわー!」とか「ギャー」とかたちまち地獄絵図の態に。濡れた顔を拭う友人の、ぼうぜんとしたあの顔といったらなかった。

| | コメント (9)

2006年10月13日 (金)

教えない

06101001

休暇中のある日。夫が寝室のカーテンと窓を勢いよく開け放って大きく伸びをしながら「おなかがすいたなあ!」と言ったので「なにが食べたいですか」と訪ねると夫は振り返って妻の顔を見、「そうだなあ!今日は天気が良いから…」と言ったあと視線をふたたび窓の外に向けて黙った。妻は『天気の良い日に夫が食べたいメニュー』がいったいなんなのか、実はものすごく興味があったのだけれども夫は笑顔でお茶を濁して寝室から出て行ってしまったので結局『晴れの日の一品』はわからずじまいだった。今度機会があれば聞いてみたい。そして「雨の日はなにが食べたいのか」、これもぜひ妻は聞いてみたい。


| | コメント (8)

2006年10月11日 (水)

旅立たない

06101002

わあ。日本のどこかで、妻を待ってるひとがいる。い~い日~。

7月の半ばから9月1日までだったはずの夫の長期休暇がなんと10月1日までに延び、それに伴って夫婦ふたりして遊びほうけて野蛮な生活をしているうちに「おでん」のことなどすっかり忘れ、日記の書き方も写真の撮り方もお弁当の作り方も忘れ、そして夫もきっと仕事の仕方をなんとなく忘れている。
とりあえず日常に戻った今、街にあふれる「きんもくせい」のにおいなどに鼻をふくらませながら「おでん!」と思い出したのだった。

最近の妻はあいかわらずせっせと歯医者に通い、がんばったのは歯医者さんであるにも関わらず「歯医者でがんばったじぶん」へのごほうびに治療が終わったら必ず歯科医院の隣のお店で「パピコ」を買う。という、わりと本末転倒なことをしたりしています。
これからも「おでん」をよろしくお願いいたします。

| | コメント (59)

2006年8月29日 (火)

起きない

06082301

先に起きた夫が「ねえ、おなかがすいたよ」と言って妻を起こすと寝ぼけた妻は「せっかくピエール瀧に会えたのに!」とフガーと怒ってまた寝た。実際に妻は、新潟行きの列車の中でピエール瀧と会っている夢をなぜだか見ていたのだった。
理不尽な叱られ方をしたかわいそうな夫は、「そうか…ピエール瀧なら仕方がないね」とおかしな納得をしてそっと寝室を出て行き、妻が再び目覚めるまでずっとおなかがすいたままだった。

| | コメント (11)

2006年8月24日 (木)

断れない

06082302

おやつに飴を食べる。
そういえば先日、かばんの中から飴を取り出して母に「飴食べませんか」と尋ねたところ、母はこっちを見もせずに「ふん、飴なんか」というかんじで「いらないよ」と言ったのだった。しかし妻が「でも、『さくらんぼの詩』よ?」と言うと母は振り返って妻の持っていた「さくらんぼの詩」を見た瞬間に「ちょうだい」と言って手を出した。
「さくらんぼの詩」にはそういうなんとなく求めてしまう不思議な力があるのだ。

| | コメント (9)

2006年8月18日 (金)

寝られない

06081802

今夜は運良く北西からの乾いた風が吹いていてとても涼しい。そこで妻は喜んでエアコンを切り、家中の窓とドアを開け放って風を通して就寝。しかしその素敵な風は妻の髪の毛を常にそよそよとなびかせて顔をふさふさふさふさふさふさと撫で、どう寝返りをうってもこそばゆくて全然眠れない。


| | コメント (6)

2006年8月16日 (水)

欲張らない

06081805

お盆。ぼんぼん。夫の祖母の家に、義父母と共に墓参り。
車で1時間ほどの距離にあるにもかかわらず夫の祖母の家のあたりは田んぼが多くてのどかで非常にぽたぽたした雰囲気。夫と「このへんはぽたぽたしてるわねえ」となんとなく語感だけでものを言いながらドライブ。

06081806

家に着くと、夫の祖母はにこやかに出迎えてくれて、妻に棒のついたあずきのアイスをくれた。
この家でひとりで暮らしている夫の祖母は身ぎれいで聡明で、耳もよく聞こえて茶目っ気まであるのだった。まずもって普通の声量で楽しく会話ができることに妻は仰天。四国で暮らしている妻の祖母と比べないわけにはいかない。

06081804妻が腰かけていた椅子の隣にあった電話の横のメモに、「MP3」と走り書きがしてあったのを見て妻はまた仰天。MP3!コンピューターおばあちゃんか。
電脳ばあちゃんはもちろん携帯電話も持っている。加えて妻に、「ユキちゃん、『インターネット』ってなにができるの?」と聞いてくるのだ。答えている妻自身もよくわからないようなしどろもどろなインターネットについての説明をしながら、四国の妻の祖母が聞くことといったら「ユキちゃん、『ラッキー』てどういう意味ぜ?」とか、妻のビデオカメラを指して「これで電話がかけられるんじゃろう?」とかだなあ。としみじみと思う。世の中には実にいろんなおばあちゃんがいる。


06081807_1

かんかん照りの中、お墓に参ってからまた夫の祖母の家でひとやすみ。
夫の祖母の家には蔵がある。夫とその蔵を探検。ひんやりと暗い蔵の中に、普通に「おひつ」が置いてあったりして蔵の中初体験の妻はとても楽しい。「なんでも持って帰ってね」という夫の祖母の言葉に甘えて、「扇風機」と本棚にあったぼろぼろの「たのしい三年生ふろく、少年少女世界名作文庫」という昭和33年に発行された本と昭和24年発行の「少年ザンバ」をいただく。蔵は良い。妻の実家には蔵もなければ「少年ザンバ」もない。
それから夫の祖母は家の前の畑でピーマンとトマトをぽきぽきと収穫して、どっさり妻に持たせてくれた。世の中のおばあちゃんは愛に溢れている。
そんな盆。

| | コメント (9)

2006年8月11日 (金)

笑わない

06080807

歯医者さんにて。
大口を開けたまま耐える長くて苦しい無言の闘いののちに訪れる解放の合図。待ちに待った先生からの「はい、うがいしてください」というお言葉とウイーンと起き上がる椅子。そこで妻はやっと力を抜いて、握り締めていたハンカチを緩めるのだけれども今日の先生は「うがいしてくださいね」と言いながら椅子のスイッチを押し間違え、ほとんど平らだった椅子をさらに倒した。
上にいくとばかり思って油断していた妻はすっかり裏をかかれて190度にまで倒れたじぶんに狼狽。思わず「のぉっ!」と変な声を出し、照れながら起き上がると先生の隣にいた助手のひとが妻に背を向けて肩を震わせていた。きっと妻の慌てぶりが面白かったのだと思う。

| | コメント (8)

2006年8月 9日 (水)

遠くない

06072402

夫が居間にパソコンを据え、妻が「妻の部屋」をこしらえたので夫婦は離れなばれ。
以前は長い机にパソコンを並べ、愉快なサイトや素敵な写真などを見つけると隣の夫に「もしもし」などと気軽に声をかけて共有することができたのに今やそれは難しく。なんとか現状を打破するため、なにかしら簡単に声がかけられるトランシーバ的なものはないかしらと思案。夫はちょっと考えてから「『メッセンジャー』を使うのはどうだろう」と言った。
互いがパソコンで遊んでいる時はいつも「メッセンジャー」を立ち上げておいて、会いに行くほどでもないちょっとした用事でも気軽に呼び出して通信。ものぐさ夫婦、これで円満。妻はおおいに賛成してさっそくメッセンジャーを導入してみることに。
試してみると、昨今の「メッセンジャー」はとても進化していてふたりでマウスで落書きが出来たり、一緒にゲームをしたり出来るのだった。サイバー夫婦。「これはすごいね」とふたりして盛り上がり、すべての機能を体験。
しかしながら「落書き」といっても妻は「おでん」の絵しか描けず、夫は「ドラえもん」の一点張りで、とくに描きたいものはなにもなく。ゲームをしてみたところで負けそうになった妻が「ギャー待って待って」と慌てると夫が「わはははは」と笑う声が妻の部屋にまで筒抜け。よく考えたら別の部屋といっても壁一枚隔てているだけで、直線距離としては1メートルも離れていないのだった。見えはせずともすぐそばに夫。普通に声をかけても「はいはい」と会話は出来るのだった。メッセンジャー大作戦、意味なかった。


| | コメント (4)

2006年8月 8日 (火)

ペンキ足りない

06080801

実録、壁日記。
夫がお休みになったらやりたかったことその2。ペンキ塗り大作戦。
入居した頃は眩しいほどに真っ白だった部屋の壁も、6年も経った今はもううすら汚れてわびしいかんじ。なんだかすでに「これが生活をするということなんだね」と納得できる域を超えている。そこで夫と妻は一念発起。居間の壁と天井にペンキを塗ることにしたのだった。

06080802

計画は1ヶ月も前から地味に進行していて、いろんな部屋のいろんなものを妻はせっせと動かして居間の家具を一時的に置ける場所を作った。そこになんでもかんでも秩序無く放り込みます。
最終的にこの物置部屋は扉も閉まらないほどになり、こうなってしまってはもう一番奥のものは取れない。

06080803

一切合財移動してがらんどうになった居間の床を守るべく、養生開始。マスキングテープをドアや床の境目にぴりぴりと貼る。この作業がのちのちの出来栄えを左右するのだと、どのリフォームの本を読んでも書いてあったので必死。やったこともないのに、知識だけは豊富な妻だ。
しかし途中で歯医者さんに行ったりして悠長にやっていたおかげで養生が終わったのが夕方。

06080804

午後4時半から白いシーラー(下地)塗り開始。
ものの本には「湿度の低い午前中から始めましょう」と書かれてあるのにことごとく守らない自由人。
妻は頭に手ぬぐいを巻いて海賊風。夫は口元にタオルを巻いてギャング風。
軽い気持ちで始めたものの、塗っても塗っても終わらず海賊とギャングは日が暮れてからも延々6時間。照明も外しているので3台の電気スタンドを駆使してリビングはさながら工事現場の態。もちろんエアコンも養生シートでぐるぐるに巻いてコンセントを抜いているので使えず悪党ふたり、汗まみれ。あと飛び散ったシーラーまみれ。
暗い中。しかも白い壁に白いものを塗ったところでさほど達成感は無く、あげく本番でも無い。「これをあとペンキでもう一回やるの…」とへとへとと就寝。

06080805

翌朝見ると前よりもずっと明るい壁になっていた。シーラーも捨てたもんじゃなかった。夜に塗り始めた妻と夫が悪いだけだった。
教訓をふまえて今日は午前中から取り掛かる。そうそうペンキなんて塗るものではないので楽しまないと。エンジョイ!
つけたラジオではすちゃすちゃとレゲエが流れ、「今日の西日本は記録的な猛暑になってまーす」とか陽気に言っている。やめて。
塗った。もう戻れない。

06080806

壁と天井合わせて40畳分のペンキ。
買う直前まではいろんなペンキを見て回った末に「塗るならくすんだ水色にしましょう」と決めていたのに一転なぜだか全然違うこの色に。
そういえば数年前に玄関の靴箱をペンキで塗った時、同じように「くすんだ水色」にしたくて選んだ「なんとかブルー」が塗ってみたら実はものすごい爽やかな水色で、靴箱は公園のすべり台みたいな明るい色になってしまった過去を持っているのだった。

06080810

汗で濡れたTシャツを着替える。3回目の着替えの時に、このペンキと同じ色のTシャツを着て夫が登場。夫は塗りたての壁にそっと近づき同化。妻は辺りを見回して「あっ。夫が消えた!」と叫んで「隠れみのごっこ」をして遊んだりもする。

06080809

夕方ようやく終わりが見える。
塗り始めはどうなることかと思ったものの、わりとじょうずに出来た。でも塗りむらが無いわけは無いのでじっくり見ないようにして満足するにとどめる。実際壁ばっかりじっと見るひとはあんまりいない。

06080808

よく乾かしてから家具を元の位置に。
部屋の端に夫の基地を作って夫ご満悦。笑顔でパソコンの前に腰かけて「南プロヴァンス風!」とニュアンスだけでものを言っている。
水性のペンキはにおいもあまりなくて妻はまったく気にならないのだけども、夫は「なんか『ひつじ』のにおいがするなあ」と首をかしげている。妻は「ひつじ」のにおいがわからない。
家具をすべて運び終えて満足げに眺める妻の横で、夫は唐突にあっと叫び、「部屋がからっぽの時に飛行機飛ばせば良かった」と、先日買った「ラジコン飛行機」を持ってうなだれた。

| | コメント (7)

2006年7月29日 (土)

片付かない

06072902

夫がお休みになったらやりたかったことその1。模様替え大作戦。
妻は一ヶ月も前からメジャー片手になんでもかんでも長さを測りまくり、ひとりでダブルベッドやたんすをせっせと動かして空き部屋をひとつ作った。
そこにオークションで手に入れた古家具の大きなたんすと小さな水屋たんすを据えて、妻専用の机をこしらえたのだった。大きなたんすは本棚に。仕上げに居間で使っていたソファを悪戦苦闘の末運び入れ、妻のお部屋は完成した。持っていた「はと時計」を壁に掛けると、目指していた「大正浪漫」というよりは「灯火管制がしかれた納戸」という風情。なにしろせまい。四畳半。

これにともなって家中の部屋の模様替えも敢行中。
夫の協力のもとホームセンターに足繁く通い、居間にある夫の机もばらばらと分解したり掃除したりするもちっとも進まず現在我が家はおかしな家具配置。
そしてたった今、良かれと思ってエアコンを掃除しようとした夫がペキャという妙な音と共にエアコンのプラスチックカバーを割り、夫はカバー持ったままぼうぜんとしている。
それでも時間はやってきて、部屋を散らかしたまま明日から夫と妻は四国に行かなければならないのだった。

| | コメント (6)

2006年7月25日 (火)

尽きない

06072401

夫婦は暇をもてあます。
週末はどこも人が多いのでもちろん外になんか行かない。雨が降っているのでなおさら行かない。自由人らしく、昼間っから家の中で「ボレロ」を音量大きめでかけてふたりでおかしな踊りを舞い放題。スパゲティ茹で放題。夫が買ってきた部屋の中で飛ばせる3.3グラムしかない「ラジコン飛行機(アマゾンのページ)」飛ばし放題。妻が投げつけて失敗して壁にぶっつけ放題。口笛吹き放題。つまりやりたい放題。どんどんと野蛮化している夫と妻だった。

| | コメント (12)

2006年7月23日 (日)

通じない

06061303_1

休みに入って急に気が抜けて、鼻を詰まらせたりこほこほと咳をしたりしてあまり元気のなかった夫。今はずいぶんと良くなって夜更かしし放題の休暇を満喫。
そんな夫の横で今度は妻がこんこんと咳。すると夫は「ぼくの咳と似てるなあ」と心配そうな顔つきで妻を気遣い。だのに妻ときたら「おっ」となって「それはアレかな。『長年連れ添った夫婦は似てくる』的なやつかなっ」などととんちんかんな返事を嬉しそうにして、夫に「全然、全然違う」と言われてしまった。

| | コメント (3)

2006年7月17日 (月)

短くない

06071702

夫が「明日からお休みだよ」と言ったので妻はカレンダーを見、うなずいた。そうね海の日だものね。3連休。素敵ね。などと思っていると夫は「9月1日まで」と続けたのだった。9…。いったい何連休なのか。そしてなんて極端な夫のお仕事か。ともかく1ヵ月半もの夫の夏休み。初日は100円ショップで買ってきたぺろぺろのダーツを壁にかけてふたりで遊ぶ。一息ついて夫は「おいしいコーヒーをいれてあげよう」と言ってじっくりお湯をおとしたおいしいコーヒーの仕上げに冷蔵庫から牛乳と間違えて野菜ジュースを取り出し、勢い良くコーヒーににんじん色の液体をダバーと注いで「うわー!」と悲鳴を上げていた。

| | コメント (7)

2006年7月12日 (水)

痛くない

06071701

歯も痛くて気もそぞろ。心頭滅却すれば火もまた涼し。なんとかごまかして愉快に過ごそうと背中を丸めてゴムの板をカッターでもってゆがんだ歯のはんこを楽しくべろべろと彫り、一心不乱にメモ帖におして遊んでいると夫がやってきて「歯のことしか考えられないんだね…」と心から同情した口ぶりで言った。全然滅却なんてされなかった。

| | コメント (3)

2006年7月10日 (月)

作らない

06071001

妻は「鼻兎」という漫画がとても好きで、退屈な時には取り出して読んだり眺めたりしている。昔はぬいぐるみなんかも売られていたそうだけれども、もう手に入らないレアものに。ああ。立体的な鼻兎。なんて素敵か。
妻はいったん夢中になると同じことをなんべんだって言うので、本を片手に「いいな鼻さんのぬいぐるみ…」と夫にはどうにもできない無理難題を呟き、夫はそのたびに困った顔をして「…きっと白くて丸いだけだよ」と、わりあい的確な言葉で妻を慰めるのだった。

06071002

そんなある朝トイレの棚に置かれていたミッフィーの貯金箱の後頭部に、鼻さんがいるのを発見。妻が寝ている間に夫がこっそりと描いたのだ。どうやらこれでなんとか我慢しろという夫の苦肉の策。どうもありがとう夫タカマル。
そして妻はこの鼻兎が案外気に入り、後ろ姿のまま飾り続けているので鼻兎なんか知らない友人が遊びにきてトイレに入ると必ずへんな顔をして出てくる。

| | コメント (15)

2006年7月 6日 (木)

情けない

2006051201


この一ヶ月日記も書かずにしなしなにしおれていた理由は、実は歯痛なのだった。歯。たかが歯。されども。歯。
早く治療していれば簡単に済むものを、明らかに虫歯だとわかっていながらだましだまし生きてきてついに痛み出し、それでも無意味に我慢して我慢してどうにここうにもな状態に。そして余計に治療は長く、あげく辛い。という歯医者嫌いの典型的な手順を見事に踏んだのだった。
しかし治療をしてもらってもしばらくは痛みがまったく引かず、床に突っ伏して暮らす日々。自業自得ながら泣きぬれる。主食は「ウイダー・イン・ゼリー」。生きながらしかばね。見かねた夫が保冷剤を妻の頬に当て、顔を手ぬぐいでぐるりと巻いて頭のてっぺんで縛る、絵に描いたような虫歯スタイルにしてくれた。
やがて痛みは引いて妻にも笑顔が。ところがさらに愚かなことに左右の歯が悪いので硬いものが噛めず、なんでも丸呑み。唯一自由な前歯を駆使して食べる姿はまるで兎かハムスター。主食うどん。讃岐の麺の「こし」すらも、この身には致命傷。
こんな姿でおいしいものなんて食べられるはずもなく。妻の誕生日に素敵なアフリカン・フレンチのお店を予約してくれていた友人に事情を説明。案の定友人から「歯!?もう大人なのに?」と罵倒された。まったくそのとおりなのでぐうの音も出ず。それから「…じゃあ虫歯が治ってなんでも噛めるようになったら改めて食事に行こう」と、老人みたいな約束をしたのだった。
そして誕生日当日。夫が買ってきてくれた美味しいケーキを食べ(というか呑み)、ささやかにお祝い。
そんな、最高に馬鹿馬鹿しい31歳の幕開け。

| | コメント (26)

2006年6月12日 (月)

目指さない

06061301

今までお裁縫や銀粘土やビーズ細工やろうそく作りやなんやらに片っ端から手をつけて見事に散っていった妻が、また妙なものに手を出す。はんこ。
何度でも同じものが押せたら愉快だなと、絵心が無い妻は思ってしまったのだった。調べてみると世の中の素敵っぽい奥さまたちの間では「消しゴムはんこ」(アマゾンに飛びます)が流行しているそうだった。
本でくまなく勉強したのち、なにを思ったか妻は「こっちは硬派にゴム板だ!」と意気込んでゴムで出来た版画板を購入。「おでん」の絵を書いてばりばりばりと彫ったのだった。
しかし版画版は意外と硬く、ゆごゆごに歪めた「おでん」をなんとか製作してため息。前言を撤回していそいそと名前を消しゴムで彫った(ユ)。
とりあえずメモ帖に押してみたものの、やっぱりはんこでも絵心は必要なのだった。だいたい「おでん」だったら描けるので、はんこにする必要はとくに無い。そしてこれを押す場所も別に無いのです。
でもせっかくなので仕事から帰ってきた夫に披露。夫は見た瞬間「オホホ」と笑った。
不器用だとわかっていながら妻はどうしてこの手のものをやりたがるのかしらねと言うと夫は「それでも実行するだけえらいよ」と慰めてくれ、「棟方志功を目指してがんばれ」と言った。妻は力強く「うん」とうなずいたけれど、棟方志功は「おでん」なんか彫らないと思う。

| | コメント (15)

200