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2006年6月 1日 (木)

やっぱり四国旅日記

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祖母がひとり暮らしている四国に、母と様子を見に行く旅路。
四国と祖母が妻を呼ぶ。週間天気予報はずっと晴れ。日焼け対策として、いかさないアームカバーをばっちり装着して車を運転。

愛媛県のサービスエリアでは、おなじみ「タルト」さんのステッカーが床にたくさん貼られている。それをみんなが踏みしだいて歩き、タルトちょっとかわいそう。

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これからの季節に忘れてはいけないのは日焼け防止と虫除け。
なにしろ祖母の家は「家の中でありながら外」みたいな風情があるので毎年見たことの無いような虫にたくさん出会うのだった。妻はなにより虫がこわいのでこの「ぶた」を持参。祖母の家に着くなり電源を入れたがたいした慰めにもならず。虫は普通に飛んでいる。

06052811猫はとっても元気。
猫にとって妻はおそらく、会うたびに銀色のカメラ片手ににじり寄って来るたいへん迷惑な人間だと思われている。今回もどたどたとやってきて「やあやあ」と言いながら鼻先にレンズを突きつけ(近い)、何度も響かせるシャッター音。猫は律儀に流し目をくれる。


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翌日は掃除。
しかし祖母は母や妻が掃除ばかりしていると拗ねるので(物を捨てるとけんけんと怒る)、どちらかが注意を引きつけておいてもう一方が作業。というコンビネーション技を繰り返すことになる。本日は妻がこたつ布団を洗濯している間に母が祖母の服を褒め、交代して母が冷蔵庫に眠る液状化した豆を捨てている間に妻が話を聞いたり、浪々と歌う祖母に手拍子を打ったり踊ったりする。

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そんな祖母の話。
近所のキヨちゃん(おそらく祖母のお友達)が「むささび」を飼っているんじゃ。と祖母が言うので妻は感心。それは珍しいね。なにかな?そのキヨちゃんちの「むささび」は飛ぶのかな?などとノリノリで問うと祖母はハキハキと「むささびは飛ばないぜ」と言ったのだった。むささびは飛ぶよばあちゃん。
それから話を続けるもどうにも噛みあわず、「ばあちゃんそれは本当にむささび?」と聞くと祖母は首を傾げて「まことにむささびか…?」と言った。疑問はそこからか、ばあちゃん。「モモンガ」とか「りす」とか、いくつかそれらしいものを挙げてみたけれども祖母にはぴんとこず、結局キヨちゃんちの動物はわからずじまいに終わりそうになった瞬間、祖母は「つがいで籠に入れておいたら爆発的に増えたんじゃ」と言った。ああ。ばあちゃん、それは「ハムスター」。
どこからどうなって「むささび」に。

06052812山奥でお墓参りをしたり、街に出て銭湯に行ったりして帰るともう夕方。
祖母の家の目の前にある小さな川には蛍がたくさん居て、暗くなる頃に一斉に飛ぶのだった。
今まで生きてきた中で妻の「ほたる運」はなかなかに悪く、「ほたる狩り」なんかに行ってもちっとも飛んでなかったりしたので、こんなにたくさんの蛍が飛び交うさまをあっさり見られて大びっくり。しかし蛍だって虫なので、やっぱりおっかないのだけれども暗闇に舞う光はとてもきれい。
勇んでカメラとビデオカメラを構えてなんとか撮影しようと悪戦苦闘したものの、どう頑張っても良いかんじには撮れず、カメラに翻弄されてかんじんの蛍をまったく見ていないことに気付いて観賞に専念。

蛍は危機管理が甘く、簡単に寄ってきて簡単に祖母に捕まえられていた。
祖母と母は「昔は蛍を捕まえたら虫かご代わりに『ねぎ』の筒の中に入れてたよねえ」などと言って盛り上がり、庭の「ねぎ」をちぎってその中に蛍を入れた。淡く光る「ねぎ」。なんというか、ちょっとひどい。



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もう寝る。
電気を消して布団にもぐりこんで目を閉じ、しばらくしてから目を開けると部屋の中で蛍が2匹も飛んでいたのでたまげた。この蛍の危機管理の甘さ。
うっとりしているうちに持参した「アースノーマット」でもって蛍が弱ってしまうと困るので必死で捕まえ、外に逃がす。

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翌日は祖母を連れて明浜(あけはま)までドライブ。
明浜はリアス式海岸の美しい風光明媚な港湾で、急斜面につくられた段々畑にはみかん。海では真珠、ちりめん、鯛が採れる素敵なところ。天気も良くて、祖母もご機嫌。

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海水を利用した「塩風呂」に浸かる。露天では目の前に宇和海が見えて旅情爆発。海水の浮力で、脚がゆらゆらと浮く。
のぼせた祖母が「熱いぜ」と言いながら湯から上がり、全裸で柵の前に仁王立ち。ばあちゃん、外から見える見える。

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お昼はこのあたりの郷土料理である「ひゅうが飯」。
鯛のお刺身を卵の出汁に漬け込み、もみ海苔と胡麻、ねぎを散らしてそれを炊きたてごはんにかけていただきます。夢のようにおいしい。ごはんが足りません。分厚く豪快に切られた新鮮な鯛のお刺身もどーんと出てきて祖母も母も妻も大満足。
妻は「夫タカマルも来れたら良かったのにな」と思い、母は「父さんはお刺身が好きなのにな」と思い、祖母は「じいさんも生きてたら良かったのに」と思った。おいしいものを食べた時に思うことはまるで同じ。


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腹ごなしに海辺を散歩。
陽射しは強いものの潮風は爽やかに、砂浜は白く、沖には漁船。「ばあちゃん、きれいねえ」と呟いて振り返ると祖母は石の階段に腰かけて落ちていたボールペンを拾っていた。ばあちゃん。海見ようよ。海を。「…あ!まだ書けるぜ!」
海そっちのけの婆。

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帰りは海沿い。いくつかの漁村を通過しながら、細い道のカーブの先に居るか居ないかの対向車に怯えながら運転。
休憩がてらコンビニでアイス。半分祖母にあげると祖母はチューと吸い、「これはうまいぜ」と言った。妻が微笑んで「パピコよ」とアイスの名前を教えると祖母は「ポテコ?」と言った。ポテコは実在するけれども違った。「パピコよばあちゃん」「パピプペポ」惜し…くない。文字数も増えている。


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家に戻ると洗濯物は乾いていて、玄関先で猫が待っていた。
今夜は猫を抱えて一緒に蛍を観賞。
猫はしまいめに迷惑そうにひとつ鳴いてから妻の鳩尾を脚で蹴って、しなやかに降りて逃げた。


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翌日は帰ります。
ばあちゃんまた来ます。今度はきっと、暑い暑い夏のさなかに。
母と枇杷を食べ食べ高速道路を通って帰っておわり。

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コメント

おばあちゃんが相変わらず元気そうで何より何より。
名前も素顔も知らないけれど、四国のおばあちゃんがもう他人では無い気がしている人はそれはもう五万といる筈。

それにしても「鳩尾」ってこう書くんだぁ、知らなんだ。

投稿 けい | 2006年6月 4日 (日) 09時08分

いつも楽しく読ませて頂いてます。
おばあちゃんっ子で猫大好きな人間としては、
四国日記は何よりの楽しみでございます。
小さな頃そういえば蛍って簡単に捕まえられたなあ、と思い出しました。
いつの時代も蛍の危機管理は甘かったのですね。
こっちの水は甘いぞ、どころじゃないですね。

投稿 HANA | 2006年6月 4日 (日) 09時53分

少しキモチがダウンしていたところ・・・
楽しい旅日記で癒されました。サンクス☆
猫ちゃんのニュウと右になびいたピンクの首輪が
かわいらしいですね(^^)

投稿 サナ | 2006年6月 4日 (日) 13時20分

ユキさんこんにちは♪
来週末より有休を交えて4日間
熊本の祖父母に会いに行って参ります。
祖父が入院してしまい、本人と伴侶である祖母を激励に。
そしていまいちハッキリしない病状を確かめに。
4日間、九州はもしや梅雨入りしてはしないかと心配。

今回の[ぶた]同じモノが私の部屋にあります。
実家から奪い取って来ました( ̄ー ̄)
そして熊本の祖父母宅にはなぜか昔から何匹も猫が絶えません。

投稿 MICA | 2006年6月 4日 (日) 17時00分

我が家にも「ぶた」があります。
ユキさんとおそろいなのがすごく嬉しいです。
今回の旅日記では「ひゅうが飯」に最も心奪われました。うまそ。
日本にはワタシが知らないうまいものがたくさん潜んでいるのだなぁと感心しました。
初夏に海。いいなぁ。

投稿 hilife | 2006年6月 4日 (日) 17時55分

>妻は「夫タカマルも来れたら良かったのにな」と思い、母は「父さんはお刺身が好きなのにな」と思い、祖母は「じいさんも生きてたら良かったのに」と思った。おいしいものを食べた時に思うことはまるで同じ。

なんだか、じーんとしてしまいました。
女三代そろって旦那さんを思う気持ちが。
そして、おばあさんは相変わらずぶっとんでますね。
ユキさんのおばあさんの高知弁いいですね。かっこいい。

投稿 魚政 | 2006年6月 4日 (日) 19時19分

お婆ちゃん、元気そうで何よりです。
「~ぜ」にしびれてます(笑)。

投稿 ひろきち | 2006年6月 4日 (日) 21時11分

夫の実家が愛媛なので四国旅日記は毎回つぼに入りまくりです。
タルト、急に増殖しましたよね。
ユキさんのおばあちゃんが元気でいると聞くと、なぜかこちらまでうれしくなってしまいます。
あと、いつぞやはヒコマロの件でお手を煩わせてしまったようで・・・・すいませんでした。

投稿 syufu | 2006年6月 4日 (日) 22時47分

「むささび」の正体が無事分かって私もホッ。
にしても「鳩尾」。国語の勉強になりました、感謝感謝。

投稿 たま | 2006年6月 5日 (月) 09時20分

猫が鳩尾を蹴って逃げていくくだり、とても美しい詩的な表現で感動いたしました。
おばあちゃん訪問日記はいつもユキさんやお母さんの、おばあちゃんに対する愛情があふれていていいなあと思います。

投稿 ろぼこん | 2006年6月 5日 (月) 10時44分

おばあちゃま登場のエピソードには もう そんじょそこらのお笑い芸人さん、作家さんでも かないますまい。 
今回もお元気でなにより・・・。知らない間に おばあちゃまのファンがどんどん増えていることを 夏にお伝えくださいまし。PC画面の前で声をあげて笑かしていただきましたぜ。

投稿 きなこ | 2006年6月 5日 (月) 11時27分

こんにちは。

久しぶりの旅日記でしたね。おばあ様もネコちゃんも元気そうで何よりです(ネコちゃん大きくなりましたね。何か大人の顔つきになった?)。

今回の旅行では蛍が見られたのですか!?いいなぁ~。私はまだ生で見たことがないので羨ましい限りです。でも、実は私も虫が苦手なので、もし見に行っても安心して見られないかも・・・ですが(笑)

アースマット・・・。これからの季節は大変重宝しますが、虫全般に効いてしまうので、蛍にも厳しいものがあるかもしれませんね(笑)

それにしても、やっぱりタルトは気になる存在ですね。

投稿 ハナミカゼ | 2006年6月 5日 (月) 14時10分

「鳩尾」がわからなくて
文面から「ん?おなかあたり?」と思いつつ
恥ずかしながら検索しました。
みぞおちだったのですね。

投稿 やっしぃ | 2006年6月 5日 (月) 17時45分

・けいさん
ありがとうございます。愛され婆。奇行のたまものです。
しかしまさか日記で全世界に発表されているとは思ってもいない上にきっと理解もできないので、「ばあちゃんにはファンがいるよ」と教えてあげられないのが辛いところです。

・HANAさん
こんにちは。ありがとうございます。
わたしも祖母の家に猫がやってきてから、遊びに行くのが楽しみです。猫はかわいいなあ。
そうそう。蛍は素早さのかけらもなくて。向こうから寄ってきたりするのでまったく甘いです。部屋の中で飛ぼうものならば、猫パンチ食らってあっけない最期になりそうなのでおっかないです。

・サナさん
ありがとうございます。嬉しいお言葉。こちらこそそれが明日への糧になります。
あ。本当だ。なびいてますね。ふふふヒーローみたい。

・MICAさん
入院されているご本人もさることながら、毎日気を張って看病されるおばあさまの心労が大きいと思いますのでぜひ元気づけてあげてくださいね。
我が家は運良く、蚊が飛んでこない家なので、この手のものは無いのです。なので、毎年四国に行く用に購入いたします。おかしな話です。

・hilifeさん
おっ。しかし祖母の家に置いてきてしまいましたので、祖母とお揃いになりました。ふふふ。
「ひゅうが飯」とてもおいしかったです。元々「たまごかけごはん」に目が無い方にはたまらないかんじです。郷土料理というのは現地で食べるのが一番新鮮でおいしいですよね。旅の醍醐味だなあ。

・魚政さん
ありがとうございます。おいしいものを食べたり良いものを見たりした時に、誰かの顔が思い浮かぶというのは幸せなことですよね。だからわたしはお土産とか、手紙とか、じぶんの居ないところでじぶんを思い浮かべてくれた証が大好きです。人一倍喜びます。
祖母は愛媛県に住んでいますのでなに弁なんだろう…?伊予弁?なんにつけ広島弁やら土佐弁やらが入り混じったものすごい方言です。無茶苦茶好きです。方言。

・ひろきちさん
ありがとうございます。暖かくなってきて、祖母も絶好調でございます。
「~ぜ」も、決まってました。ばあちゃんかっこいい!

・syufuさん
おお。夫さまのご実家が。四国は良いですよね。海もきれいで。みかんだらけで。
あ。ヒコマロ。ヒコマロ。いまだテレビでお姿を拝見したためしがありません。見れたあかつきには、にやりと笑うと思います。

・たまさん
祖母と話をしているとどんどんわけがわからなくなっていくことがあります。「むささび」も、「むささび」のつもりで話をしているわたしと「ハムスター」のつもりで話す祖母の会話は大きく離れていき、しまいに「むささび…?」と祖母が疑問を投げかける始末です。聞きたいのはこっちだと。うふふ。

・ろぼこんさん
やああ。詩的だなんて恥ずかしいです。どっちにしろ、蹴られて逃げられたという話なので、ちっとも美しくありません。だめだ。
四国にはダブル孝行のつもりで行っています。ものより思い出。

・きなこさん
ありがとうございます。しかしそもそも「どうして祖母のファンが居るのか」という説明がつきそうにないのが残念です。絶対理解してくれない。なにせわたしの持っているビデオカメラで電話をかけようとする祖母です。どこにも繋がらないのに。

・ハナミカゼさん
ありがとうございます。隔月で四国です。たまに毎月。
夏は虫が多いのでこわいこわいです。でも蛍は素敵でした。光ながら飛ぶので寄ってくるのも見えて夜でも安心ですよ。予告なくものすごい勢いで顔にバーンと当たる蛾とかよりも何万倍も素敵です。

・やっしぃさん
鳩尾。そういえばあまり見かける漢字じゃないですよね。だいたい「鳩」て…?というかんじです。
このあたりの形が鳩の尾に似ているからという由来があるそうですが、どっちにしたってやっぱりわかりませんよね。鳩尾…。

投稿 ユキ | 2006年6月 6日 (火) 23時17分

〆後に書き込みごめんくださいまし。
ネギの中に蛍を入れるというくだり、ふぅん、面白いなあと思ってましたが、実はたまたまウチの子供たちのために図書館で本を借りた絵本のなかに、お話の舞台が関西方面の絵本がありまして、そこに奇しくも長ネギの筒部に蛍を入れているシーンを見つけました。
男の子だったのですが、蛍用の虫かごを忘れてきてしまったのでネギの中に入れて持ちかえった、というような記述がありました。
なかなか芸術的視点からも綺麗で興味深い光景なんじゃないかと思います。
それにしても、ネギ臭い中で平気なのかしらとつい思ってしまいます。

投稿 但馬屋女将 | 2006年6月 7日 (水) 23時41分

・但馬屋女将さん
こんにちは。いえいえまったく締め切りというものはありませんのでお気軽にコメントくださると嬉しいです。
素敵な情報ありがとうございます。ものすごくタイムリーですね。そうか。虫かご代わりにネギの中に入れるのはよくあることなんですね。
淡く光るねぎ…。幻想的ではありますが、今から恋をしようかという蛍のからだにねぎの匂いがついてしまって大丈夫なのだろうかとわたしも思いました。あと、きっとねばねばします。ねぎの中。

投稿 ユキ | 2006年6月 9日 (金) 17時40分

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